『曼珠沙華―まんじゅしゃか-』
作・演出・人形製作・出演/飯田美千香
音楽/湯浅大吾(津軽三味線)
音構成/尾林真理 写真/伊藤 敦
曼珠沙華は日本の秋を鮮やかに彩る神秘的な赤い花です。その色や姿、毒があることから様々な言い伝えがあり、不吉の花とも吉兆の花とも言われています。苦界に生きる身となったまだ若い遊女のはかない人生を曼珠沙華になぞらえ、女の悲しみをセリフを用いずに所作と舞だけで表現しています。人形は飯田美千香が師、岡本芳一の三回忌(呉市 神応院にて)に捧げる為に作ったものです。津軽三味線に乗せて、どんどろ・岡本芳一直伝の人形操演、美しい着物で妖しい舞台を演出します。悲しい遊女の幸せを願う想いの象徴として、赤襦袢から現れる無数の人形は、日本の伝統工芸でもある“吊るし飾り”の“猿っ子”という人形です。
【百鬼ゆめひな】 2010年 信州伊那谷にて創設。等身大人形を遣い、同時に遣い手自身も黒衣(人形遣い)としてだけではなく、時に人形となり舞台に加わる。音楽、所作、舞のみによって構成され、主に和の耽美的な世界が展開される。この独特な舞台表現は、故・岡本芳一により創作されたものである。
【飯田美千香】 97年 百鬼どんどろに入団。主宰・岡本芳一の等身大人形を遣った斬新で強烈な舞台表現に魅了され、人形遣いを志す。どんどろはヨーロッパを中心とした海外での上演が圧倒的に多く、団員として随時同行し、各国の多くの舞台を見て創作表現について学ぶ。岡本と共に作品作りにも関わり、等身大人形の製作も積極的に学ぶ。98年初舞台。00年フランス・イタリア・ギリシャの各フェスティバルでオフプログラムながら初の海外上演。01年 「夢人形ひいな」を旗揚げし、独自の世界を表現する事に挑戦。その後も作品を発表し続け全国各地で数多く公演をする。06年 どんどろから独立。08年 人形製作・操演以外に作劇・演出を担当し新境地を切り開く。東京で初の自主公演を行う。09年 独立後の最初の作品はドイツのフェスにて【陽気だが敬意に満ち、この世の裏側にある世界もほのめかしている。そしてその世界から希望やエネルギーが沸き、私たちに降り注ぐ】と高く評価される。2010年 師匠、岡本芳一の没後、屋号を「百鬼ゆめひな」と改め、岡本の編み出した表現方法を確かに受け継ぎながら、女性の特色を生かした作風・表現を探求し続けている。現在も人形演劇祭inochi(東京・調布市)や、いいだ人形劇フェスタ、昼神温泉「石苔亭いしだ」能舞台や、テーマパーク等でのレギュラー上演、TV・映画出演など、活躍の場を拡げている。鹿児島出身。
〈他の主な作品〉
宇津神楽(うつかぐら)
原案/宮崎駿
構成/逸見尚希
演出・人形製作・出演/飯田美千香
音構成/尾林真理
衣装/地球屋
猫姫くぐつ舞
作・出演・人形製作/飯田美千香
音構成/尾林真理